真夜中でも反響するさざ波の音。今となっては心地よい潮の響きも、ここ鴨川市に暮らし始めた頃は、不安な自分を映したような、不気味な音に感じた。目の前に広がる無限大の海。もしかしたら、腫瘍内科の可能性の分だけ広がっているのではないか。以前より少しだけそう思えるようになったのは、近くに百貨店も地下鉄もない、目の前に豊かな自然が広がるここ亀田で、必死に研修したからかもしれない。
「日本のがん医療を前に進めたい」。私が亀田での研修を志望したのはシンプルな理由だった。中学生までは、社会の役に立つ仕事がしたいと考え、自分は起業家か政治家になるものだと思っていた。しかし、高校生になってすぐ、約3年間がんと闘い続けた家族を失った。当時の自分には、学校から帰宅し、誰もいない家で泣くことしかできなかった。亀田が日本ではまだ珍しい腫瘍内科を有していたことが、がん診療のエキスパートを志望する私を惹きつけた。
わずか2年弱ではあるが、実際に研修して感じた亀田総合病院で研修することの利点を、内科専攻医となる視点から以下に示してみたい。キーワードは「バランス」、「地域性」、「教育文化」、そして「多様性」である。
「バランス」
「地域性」
「教育文化」
「多様性」
このような特色ある研修環境は日本でも珍しいだろう。これまで亀田総合病院が病院の常識を変えて来られたのには、そんな特殊性が関係しているように思える。全国から高い志を有する医療従事者が一堂に会する環境。自由な発想が許容される職場や人間関係。少子高齢化から逃れられない立地性。新たな医療の価値を創造していく条件が、亀田総合病院がそびえる安房二次医療圏にはあるのだ。
そんな研修環境ではあるが、研修に没頭する余り、ときに過負荷になることもあるかもしれない。そうなる前にぜひ南房総のリフレッシュ環境を大いに利用してもらいたい。南房総はグランピング施設、旅館など観光地へのアクセスが良好で、海や山でのアウトドアも充実している。温泉やスポーツも手軽に楽しめ、新鮮な海の幸も堪能できる。特急や木更津バスターミナルを利用すれば、実は東京、横浜や羽田空港などへも比較的容易にアクセスが可能だ。当初は不安で仕方なかったが、研修に没頭でき、かつリフレッシュもできるここ南房総のことが、驚くほど好きになれた。
振り返れば、実際の医療現場は想像以上に過酷で、毎日が驚きと学び、そして葛藤の連続だった。綺麗事抜きに死と隣り合わせの日常は、常に高い臨床能力と人間性が求められる。そんな中でも、RIMEのモデルを意識し、Reporter → Interpreter → Manager → Educatorと成長できるよう、泥臭く食らいついた。挫折することもあったが、総じて充実した研修生活を送れているのは、支えてくれる家族や励ましあった同期、熱血指導で迎え助言をくださった上級医、沢山質問してくれ、ときに突き上げてくれる後輩たち、そして卒研スタッフらのおかげである。
このように臨床に没頭した日々の中で、一つ確信したことがある。それは、皆さんを飛躍させるのは皆さん自身に他ならないという、至極当たり前のことだった。残念ながら、病院が皆さんを飛躍させてくれるわけではないのだ。不安に思うだろうか。しかし、皆さんはすでに一人の自立した大人である。皆さんが主体的に病院の全てを活用し、我々を圧倒する迫力と気概を持ち、自らを飛躍させてほしい。それに応えうるだけの充実した環境が亀田にはある。そして我々は、必死に研鑽を積む皆さんを必ずやサポートするだろう。なぜなら私たちも、自分ごとのように考えてくださる上級医と出会い、沢山のサポートを受けたからだ。
そのためにも、私自身が貪欲に学び、成長し続けねばならない。そして亀田総合病院も進化し続ける必要がある。
期待と情熱を抱き、全国から集まった志高き若者の想像をさらに超えていく、そういった圧倒的な環境をこれからも皆さんに提供していければと思う。そして皆さんには、広大な海を見つめながら、自らの可能性を信じ、ぜひ懸命に努力してほしい。なぜなら未来の医療を切り開くのは、結局のところあなた自身なのだから。
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