医学生の皆さんへ
地域ジェネラリストプログラム/家庭医療専門医/総合診療専門医志望者の皆さんへ
亀田ファミリークリニック館山 院長 岡田 唯男

亀田地域ジェネラリストプログラムに興味を持って下さりありがとうございます。
新専門医制度では総合診療医が基本領域における専門医の一つとして内科専門医、小児科専門医などと並列に位置付けられることとなりました。
従来の家庭医、総合医、地域医療などの言葉で、表現されていた診療領域が、総合診療という名の下に明確に医療制度の中で位置付けられることになったのです。(詳細は日本専門医機構のウェブサイトを参照ください)

我々、鉄蕉会は国の制度として正式に位置付けられるずっと以前の2000年から、家庭医の育成を行っており、たくさんの修了生を輩出しています(詳細は後期研修のサイトを御覧ください)

このプログラムが出来た経緯は色々とありますが、大きな理由の一つに、これまでも家庭医を希望して亀田の初期研修へ応募して下さる方は大勢いたにもかかわらず、全体のバランスの兼ね合いで十分な採用が出来なかったことがあります。採用に漏れた皆さんは家庭医の夢を抱きながら他のプログラムへマッチしそれぞれの研修を始めますが、2年後に「亀田ファミリークリニック館山での後期研修に来ませんか」と連絡を取ると、進路を変えてしまっている人が少なからずいたのです。
その時々の自分の状況や気持ちに正直な決断をされているのだと思いますが、「あれだけ家庭医になりたい、という思いの強かった人が、どうして・・・」という残念な気持ちになってしまいます。

やはり、研修をする組織風土としてジェネラリストになりたいという思いをサポートする環境が重要なのだと感じます。
家庭医診療科が2006年から館山に活動の本拠地を移してから、鴨川での活動が中心の初期研修医の皆さんへのサポートが不十分であったこともあり、様々な幸運と、多くの方の努力の結果、2011年から地域ジェネラリストコースと称して、ジェネラリストを目指す医学生の皆さんを対象に採用枠が大幅に増えることになりました。初年度からその効果は覿面で、家庭医になることを希望する方を4名(うち1名は骨太コース)採用することが出来ました。すでにそのプログラムも現在14期生が採用となり、順調にそのバトンは受け継がれております。勿論それでも、マッチングの枠から漏れてしまう方もおられますが、少なくとも以前よりは採用の枠が広がったことは皆さんにとってよいニュースではないでしょうか。

ジェネラリスト志望の学生さんがその情熱の火を絶やしてしまう大きな理由に「ロールモデルの不在」があります。地域ジェネラリストコースでは、研修の中心となる安房地域医療センターから10分弱の亀田ファミリークリニック館山で10数名の家庭医を目指す後期研修医と更にそのロールモデルとなる指導医・スタッフがひとところで家庭医療の実践をしており、その中にまみれながら皆さんが定期的に外来の研修を行う環境があります。もちろん、そこにいる家庭医療後期専門研修医が中心となって、常時安房地域医療センターの救急外来や病棟で仕事をしておりますので、普段の研修現場でもロールモデルを見失うことはありません。皆さんは孤独ではないのです!

私が考えるジェネラリストを目指す医師が選ぶ研修先の条件を提示します。
 *ジェネラリストが目指す医療を実際に実践している現場があること(理想論だけでなく)
 *ロールモデルが豊富であること
 *同じ志を持つ同僚が豊富であること
地域ジェネラリストコースは亀田のプログラムとはいえ、場も違い、指導医の数も違います。プログラムとしては始まったばかりです。しかし我々は、成功の見込みがなければ実行には移しません!

とにかく百聞は一見にしかずですので、一度現場を見に来て頂ければ、色々なことが分かるのではないかと思います。
始まったばかりのプログラムには皆さんの若い力とアイデアが必要です。伝統あるプログラムのレールに乗るのではなく、「自分の歩いた後を後続の人への道しるべにする」気概を持ってチャレンジを厭わないひとの応募をお待ちしております。
ジェネラリストとなった後の将来を心配する学生さんもいますが、日本中で、世界でジェネラリストは求められています。家庭医だけではなく、病院で働くジェネラリストも大変なニーズです。

私は最初から家庭医となる道を選びましたが、一度も後悔したことはありません。退屈だと思ったこともありません。志望科を迷ったら、自分の心の奥に聞いてみて下さい。「一生飽きずにやり続けられる仕事か?その専門で食べられなくなったとしても続けたい仕事か?」自分にとってはその答えが家庭医療という仕事でした。 ジェネラルを生業(なりわい)としたい粋な学生さん、日本の将来を作りませんか。

追伸:まだまだ、総合診療専門医と内科専門医の違いについて理解が不十分だったり、誤解が生じたりしています。どちらが優れているということはありませんが、新専門医制度では、両者は並列の専門医として、診療能力、範囲、育成方針について明確な違いがあります。
他の医療機関、研修プログラムなどでは、診療科名やプログラム名に「総合診療」が付いていても、取得できる専門医が内科専門医だけ、という事例も数多く存在しております。

過渡期で混沌としていることはやむを得ませんが、大切な将来のことですので、名前に惑わされることなく、実際にその診療科でどのような専門医が働いているのか、そのプログラムでどのような研修が提供され、どの専門医が輩出されているのか、について中身をきちんと確認されるよう、オススメいたします。

ぜひ一度日本専門医機構のページに用意されているプログラム整備基準の内科、総合診療科のそれぞれによく目を通して、その違いをご自身で確認してみてください。進路を選んだ後で「こんなはずではなかった」「思っていたのと違う」とならないように。

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