医学生の皆さんへ
マッチングと「私とは何か」
初期研修医 地域ジェネラリストプログラム 金井 祐樹

医学生の皆様、亀田総合病院の初期研修に関心を持っていただきありがとうございます。
初期研修35期・地域ジェネラリストプログラム11期の金井祐樹と申します。
このページの原稿依頼を承って以来、何をテーマに書こうか決まらずにしまいには期限遅延を生じてしまっている有様ですが、同輩や諸先輩方のメッセージと被らないように彷徨った結果、自省的に「キャリアに呑み込まれすぎないこと」について書いてみようかと思い立ちました。

こんな話を就活サイトに書くのも変かと思いますが、いま医学生(でこのページを見ているということは初期研修をするという前提でいいでしょうか)の皆さんは、マッチングに始まり、初期研修・後期研修・更にその先(他にも様々な道があるでしょう)と、職業人としてのキャリアを考え続けることになるのだろうと思います。マッチング含め就活であれこれ考える内容は、自分がどのような職業人生を送りたいかといった話や、自分がその組織・ひいては社会にどう貢献できるかが中心になるかと思います。
これは確かに就活の枠組み内では妥当性のあることかと思いますが、この点私はマッチング準備で考えすぎてしまった結果、あたかも自分のすべてが職業人格であるかのような感覚が生まれてしまいました。

臨床心理士の東畑開人氏は、
[Twitter](https://twitter.com/ktowhata/status/1238466560240443392)でいみじくも「『私とは何か』という問いが、実存を問うのではなく、キャリアを問うことへと変化したのが現代ではないか。僕らを包み込む『世界』に空白が生まれたときには実存を問わざるを得なかったが、『世界』の代わりに『市場』が再包摂すると、『私=キャリア』になる」と指摘しています。恋愛でさえ市場で交換可能な価値に還元されつつある(マッチングアプリとか)今、市場を介しない「私とは何か」の問いが具体的にどのようなものになるのか、そこから問い直さなくてはいけないのかもしれません。

医学生の皆さんは、これからマッチング準備の中で(そしてその就職先の選択という枠組みの中で)「私とは何か」という問いに自分なりの回答を紡ぎ出して行かれることかと思います。レールが割としっかり敷かれている医学部生活の中で、その沈思黙考の時間は限りなく貴重なものでしょう。同時に、就活では答えていない「私とは何か」の問いの側面を頭の片隅に置いておくことをお勧めします。マッチングに没入しすぎず、ある種の適当さをもつ、自分を嗤う自分を心の中に飼っておくくらいがちょうどいいのかもしれません。

何の役に立つのか分からない駄文を書いてしまいました。もしかすると原稿がボツを食らってサイトに掲載されないかもしれないとか思いながら・・・

亀田の初期研修や私の所属する地域ジェネラリストプログラムに関する紹介は、これまでに諸先輩方が熱いメッセージを寄せてくださっていますので、[過去のアーカイブ](http://www.kameda-resident.jp/junior/message/archive.html)も御覧ください。

拙文を最後まで読んでいただいてありがとうございました。南房総でお会いできることを楽しみにしております。

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