医学生の皆さんへ
地域ジェネラリストコースが大事にしていること
安房地域医療センター 卒後研修委員会委員長 濱井 彩乃

医学生の皆さん、こんにちは。私は現在、安房地域医療センター総合診療科の指導医で、安房地域医療センターの卒後研修委員長、亀田家庭医総合診療プログラムの副ディレクターをしています。地域ジェネラリストプログラム開設時には、家庭医の後期研修医として、このプログラムの研修体制をサポートする立場でした。地域ジェネラリストプログラムは2011年より開始し、今までに11期42名の修了生を輩出しています。2023年現在、11名が家庭医療専門医を取得し、12名が家庭医の研修中と、約半数が家庭医の道に進んでいます。その他の修了生も、それぞれの道に進み活躍しています。
プログラムの雰囲気や研修医の様子については、実際に修了した研修医のメッセージ(2023年 後藤初菜2022年 金井祐樹2021年 長嶋友希2020年 中島浩一2020年 菊地真由2018年 鈴木崇浩2017年 潮雄介など)を読んでいただくのが良いと思います。私からは、地域ジェネラリストプログラムの特徴と、研修で大事にしていることをお伝えしたいと思います。

①基本的診療能力を育てる量と質
ジェネラリストになるための基盤として、診療能力の基礎固めを重視しています。研修最初の4ヶ月は全員が総合診療科と救急科を2ヶ月ずつローテートし、診療の基本を身につけます。救急外来ではウォークインから救急車まで、内科外科小児科の区分なく初期診療に当たり、様々な年齢層、主訴を持つ患者さんの診療にあたり経験を積みます。当院で研修中は救急当直研修を週1-2回程度、通年で診療経験を重ねることができます。総合診療科では毎日の朝カンファレンスで症例のプレゼンテーションを行い、指導医や先輩研修医からフィードバックを受けます。屋根瓦式で気軽に質問でき、エビデンスや経験に基づいた議論を活発にしています。また感染症診療の基礎となるグラム染色は24時間365日すぐに行うことができ、週1回のグラム染色道場では細菌検査技師・感染症専門医から直接指導を受けられるという恵まれた環境です。
亀田総合病院の初期研修医全体に向けたレクチャーは、オンラインで参加しています。Uptodate、Dynamed、Clinical key、医書.jp、New England Journal of Medicine、JAMAへのアクセスを確保しており、小規模病院ながら充実した研修環境になっていると思います。

②一人ひとりの個性を大事にした研修
研修医は1人ひとり、得意なことや苦手なこと、成長のスピードや学び方も異なります。日々の研修では「振り返り」を重視することで、各自の課題や成長に気づき、自分に合った学び方を確立していきます。単なる同期との仲間意識だけでなく、お互いの個性を尊重することで、医師として・人間として素晴らしい成長を遂げられると感じています。得意なこと、やりたいことへのチャレンジ精神を大事にし、良いところをどんどん伸ばしていって欲しいと思います。
また各研修医には初期研修2年目、後期研修医、指導医クラスのメンターがついて、日々の研修のことから進路や将来のことまで相談をできる機会を確保しています。

③多様な診療の場を経験する
南房総の地域医療は、亀田総合病院で三次救急や高度専門医療、安房地域医療センターではより地域密着型の急性期医療、亀田ファミリークリニック館山では外来・訪問診療と、それぞれに特徴を持った医療機関の連携により担われています。診療の場が変わると、診療に求められるものが変わりますが、異なる特徴を持つ3施設での研修を通し、広い視野で患者さんや地域をみる視点を養うことができます。
また、安房地域医療センターの救急外来で診た患者さんをそのまま入院で担当し、退院後の外来や訪問診療までフォローすることもできます。やってみないとなかなかイメージがわかないかもしれませんが、救急、入院、外来、在宅、と異なる場・異なる時間軸で診療をする経験は、診療の幅を大きく広げてくれるものです。

④多職種連携、チーム医療
安房地域医療センターでは、多職種連携を重視しています。定期的な入院中の患者さんのカンファレンスに加え、日々の病棟では患者さんの様子について看護師、リハビリテーション療法士、薬剤師、ソーシャルワーカーなど様々な職種の方とコミュニケーションを取る機会が多くあります。医師だけが治療方針を決めるのではなく、常に多職種が患者さんに関わっていることを意識し、チームで診療をしていくという姿勢を持つことは、医師として一生の財産になると思います。このような姿勢を自然に学べる文化がこの病院にはあります。

プログラム開設時から中心になって運営された、当院の前メディカルディレクターである西野洋先生の合言葉は「研修医は病院の宝」でした。この魔法の合言葉により、病院全体で研修医を育てるという文化ができました。また、研修医が院内外で活躍してくれることが、多職種をつなぎ、病院を活性化し、病院全体を成長させてくれています。地域ジェネラリストプログラムは、大きな可能性を持ち、今後も発展していくプログラムになると思っています。
良い医師になりたい、患者さんに良い医療を提供できるようになりたい、という気持ちを持った皆さんに、良い研修を提供していきたいと思っています。興味を持っていただけた方は、是非ご連絡ください。皆さんに来ていただけること、お待ちしています!

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